或る罪人の一幕

君が笑うたびに僕は思い知らされる
君からあいつを奪ったのは僕なのだと
何も知らぬ無垢な手は汚れた僕を浄化するかのようにのばされる
あのね、と舌足らずのお喋りに応える僕は何者だろう
小さな君は僕に絶対の信頼を置き、そして呼ぶ
「おとーしゃん」
握りしめたあたたかい手は僕の罪を浮き彫りにして罪悪感を逆なでる
ぽつり、君は呟く
「おかーしゃん、どこ、行ったの?」
遠いお空の上だよ、とでも僕は言うのだろうか