感じるままにあれと君は言うけれど
それほどまで何かを感じることなどないのだとしたら
僕は何か欠落したままあるのかもしれない

あざとい女は陳腐だけれど心地が良くて
本意を隠した女は気持ちが良いが冷たい ...

それを愛とか情とかいうには、私たちは幼すぎた。
お互いさえあればいいと思ってしまったのは、世界が狭すぎた故だろう。
小さな小さな箱庭で一緒にいられればそれでよかった。

私は君で、君は私で。
手をつな ...

お疲れさまと縋る手がむしょうに気持ちが悪かった
お前が求めているのは私じゃないだろ
いつまで私を身代わりにすれば気が済むの
聞いたこともない猫なで声で私を呼び
慣れない手つきで私を抱く
帰って来 ...

打ち捨てられた手足を拾い集め
何故このような事態になったのかを考えてみる
抱きしめた腕は切られてしまい
押しつけたキスはもぎ取られてしまった
朝から何も食べていなかったのに出る時は出るものなのね ...

葬送吟詠

 暗さに沈んでいくのは心地が良い。

 どす黒く染まった空が、やけにきれいに見えた。雲の切れ間もなく真っ暗な夜はどこまでもやさしく包んでくれるようで、サヨリはほっと息をつく。強張った体が弛緩する瞬間が一番危ないのだと言ったの ...

終古 紲

 思わず携帯電話を投げ捨てそうになり、桐子は慌てて思いなおした。
 いや、投げつけたら壊れるでしょ確実に。一人ごちてため息をつく。
「はろ、桐子姫」
「ん~」
 誰もいなくなった放課後の教室。椅子に座り ...