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謝罪という名の拷問

突きつけられた感情を嚥下する暇すらなく
怒涛のように流れ込む言葉は心を突き刺す
何も考えていないわけでも知らないわけでもない
考えて知っていて思ったからこそここにいる
勝利せよと突き動かされるようにまろび出た先に
この上なく不機嫌そうな君を見る

後悔という無慈悲な反省よりも
何ができうるのかを行動で示せと

ふくれっつらで君はため息をついた

無意識にかみしめた唇から息とともに

「ごめんなさい」

何よりも言いたくない負けるような気がして気が遠くなる
その言葉を、絞り出した

引き回しの孤独

完璧を是とする愚かしい前提は
無駄という愚者の行為を嘲笑う

ひとつ話をしてやろうと囁いた
無垢な感情など唾棄すべきだと

零よりいでし残骸など虚しくて
その身より零れ落ちる後悔の念

心に巣くう虚無とて求めうるに
ただそれだけのことを信じるか

知るべきものを知らず打ち捨て
流れ出てゆく時間と嘆きを乞う

不可思議妙に耐えず蝕み転がり
それこそが本質だろうにと笑う

 

(初出:2017.9.26)

消失するためにあるのだとしたら

塗りつぶした道は引き返す術がない
そこにあるものはひどく滑稽で
絶望だとか虚しさだとかそんなものは全てを超越している
立ち上がるだけの気力も体力もなくて
このまま消えてしまえればどんなにか楽だろうとそればかりを考えた

結局とどのつまり
私が求めるものは楽であり空であり解放なのだ
立ち向かうだけの心が轢かれてぺしゃんこになっている今
いかに全ての責務から逸脱するかを考えた

その手には乗らぬとのばした指先をこっぴどく振り払われても
黒々と塗られた世界など意味はないだろうし形もない
ねえ、そう、きっとそんなものは最初からなかったものだと割り切れたら
この痛みの意味を理解できるのだろうか

塗りつぶした愛は甦る筈がない
そこにあるものはひどく面妖で
感覚だとか邪だとかそんなものは全てを超越している
振り返るだけの勇気も意志もなくて
このまま消えてしまえればどんなにか楽だろうとそればかりを考えた

 

(初出:2017.9.26)

懺悔と後悔と少しの希望

巻き戻す
ただただ、巻き戻す
なかったことにしたい
しなかったことにしたい
私ではない
私じゃない
一心不乱に巻き戻す姿は髪を振り乱し歯を食いしばりあまり見られたものじゃない
手がちぎれんばかりに巻き戻す姿は理性のかけらをすっ飛ばすかのように滑稽だ
そうまでして、どうするの

巻き戻す
ただただ、巻き戻す
言わなかったことにしたい
そうじゃなかった
あなたではない
あなたじゃない
無理やり力任せに巻き戻す姿は体が軋み宙に投げられバラバラと散っていくようだ
いちいち理由など考えている暇もなく巻き戻す姿は箍(たが)が外れて馬鹿馬鹿しい
そうまでして、どうするの
そうまでして、何を取り戻したいの

静寂に至る

からっぽすぎる自分
空っぽすぎる自分
真っ逆さまに落ちていこうがどこまでも突き抜けようと
何もなくて何も持たなくて何も手に入れられない
生み出さないこの手は虚しく空を掴むだけ
ない ない ない ない
何もない何もない何もない
がらんどうの器を持て余し
誰もいない世界に心地よく浸り
抜け落ちた自分を俯瞰(ふかん)する

ウラハラ情景

瘡蓋を引き剥がしたら血が出てきてじくじくした傷口がてらてらぬらぬらしていて私の心の中と一緒なのだとふと思った。
決して乾かない叶わない光のようなものは私を一生懸命駆り立てようとする。
多くも少なくも自分のことは解っているはずだったのだがいかに無知であったかということを思い知らされた。
己の心と向き合え受け入れろなどと口に出して言ってみたところでできるはずもない。
取れた瘡蓋はどこかに行ってしまったし仕方がないので血を舌でぬぐい取る。
燻り続ける傷口はいつかは治るはずでそれを待てば良いのだけれど。
ああ、どんなに渇望しても得られないものほど壊してしまいたい程に憎らしい。

立ち直るための儀式。

トイレの便器にゲーゲー吐いた。
ゴミ箱に捨てられなかった愛憎が、体を逆流して吐瀉となる。
喉が焼け付くようにヒリヒリする。
丸めて捨てられたらどんなにどんなに楽だっただろう。
食べるのはあんなにも簡単で楽しいものなのに、吐くのはどうしてこうも辛いのか。
同じ食道の移動だというのに違いすぎる。
ようやく落ち着き、便器の横に座り込む。
乾いた喉が水を欲して鳴る。
狭い中天井を見上げると、少しだけ気分が和らいだ。
くしゃくしゃに丸められたティッシュくらいには役に立てたら良かったのに。
捨て去ることしかできない己の無力さに打ちひしがれる。
それでも、腹が減るから現金なものだ。
そうかそうか、君はもういないのか。
脱力感と少しだけの安心感を得て、立ち上がった。

思考高速遅々

今考えていることをそのまま形にしてくれる機械があればいいのに
一生懸命書き留めようとするのに私の手は遅くて
どんどんどんどん思いついたことが消えていく
もったいない
もどかしい

今も浮かんだ言葉を書き留めようとするが間に合わない
浮かんで消えて
捕まえそこなりすり抜けて
待って待ってと追いかける
ああ今何を思ったんだっけ

頭の中に溢れる思考
後から後からこみ上げてくる
ぐちゃぐちゃと混ざり合う

そうね
全てを形にしてしまったら収集がつかなくなるかもね